社員に LLM の API キーを配るいちばん確実な方法は、1 本のキーを全社で共有しないことです。社員ごとにメンバーアカウントを作り、本人のメールアドレスでログインしてキーを自分で発行してもらいます。メンバーは部門に所属させ、「キー → メンバー → 部門」の 3 段階で上限を設定し、毎月決まった締め日に一斉リセットします。HopBase のコンソールでは、利用料はすべて企業残高から引き落とされ、メンバーと部門に紐づきます。使用量ページでは部門で絞り込んで CSV を書き出せるので、経理がそのまま部門別に配賦できます。以下、手順・ロールごとの権限・キーを「人」に配るか「サービス」に配るかを順に説明します。
共有キーが破綻する理由
共有キーの問題はコストではありません。次の 3 つができなくなることです。
- 誰が使ったか分からない:請求は合計額だけで、人や部門に配賦できない;
- 上限をかけられない:暴走したスクリプト 1 本で月の予算を使い切る;
- 回収できない:退職や漏えいのたびにキーを丸ごと無効化し、全業務が止まる。
「メンバー+部門+複数のキー」に分ければ、3 つとも解決できます。
ステップ 1:組織構成を決める
操作を始める前に、次の 3 点を書き出します。
- どの部門があるか(開発、データ、マーケティング、サポートなど)、各部門の責任者は誰か。
- 部門ごと・人ごとに月いくら(米ドル)使う見込みか。
- 特定の個人に属さないサービス(サポートボット、夜間バッチ、CI テスト)はあるか。
3 点目の答えで、どのキーをメンバーに紐づけ、どのキーを部門に直接紐づけるかが決まります。
ステップ 2:部門を作り、締め日を設定する
- コンソールの「チーム管理 → 部門」で部門を 1 つずつ追加します。
- 部門クォータ(米ドル、当期の利用上限)を入力します。これは上限であり、残高から先に差し引かれるわけではありません。空欄なら上限なしです。部門内のメンバーとキーはこのクォータを共有します。
- 毎月の締め日(1〜28 日)を設定します。部門とメンバーの月次クォータはこの日に一斉リセットされます。締め日の変更は次の締め日から有効で、当期が途中でリセットされることはありません。
月次決算の当日か前日に合わせておくと、1 期分の使用量が 1 回の決算期間とそのまま対応します。
ステップ 3:メンバーを追加してクォータを割り当てる
- 「チーム管理 → メンバー → メンバーを追加」で、名前・ログイン用メールアドレス・初期パスワードを入力します。メンバーはこれでログインし、ログイン後にパスワードを変更できます。
- 所属部門を選びます。メンバーの利用は部門クォータにも計上されます。
- メンバークォータ(米ドル、必須)を入力し、「毎月リセット」か「一回限りの総額」を選びます。そのメンバーのすべてのキーとワークベンチの利用がこのクォータを共有します。
- 利用可能グループにチェックを入れ、使えるモデルプランを絞ります。何もチェックしなければ企業の全グループを引き継ぎます。
メンバーはログイン後、自分でキーを発行し、ワークベンチと AI Chat を使えます。価格や割引をメンバーに見せたくない場合は、メンバー向けの価格表示をオフにできます。その場合も利用可能なリソース・使用量・クォータ・残高は通常どおり表示されます。
注意点が 1 つあります。同じ部門でメンバークォータの合計が部門クォータを超える場合は、先に使った人が優先です。部門クォータを使い切ると、個人クォータが残っているメンバーのリクエストも拒否されます。クォータ不足のリクエストは処理前に HTTP 402 insufficient_quota で拒否され、課金されません。詳しくはエラーコードのドキュメントを参照してください。
ステップ 4:部門責任者と企業管理者を指名する
企業オーナー 1 人で数十人を管理するのは大変です。次の 2 つのロールで分担します。
- 部門責任者:部門の設定で指名します。自部門とそのメンバーのクォータアラートを受け取り、自部門のメンバーを管理できます(追加・編集・削除、クォータ調整、停止、グループ変更)。部門クォータ・締め日・責任者自体は変更できません。
- 企業管理者:企業オーナーが付与します。チーム・部門・キー・使用量をオーナーと同等に管理でき、費用は引き続き企業残高から引き落とされます。情報システム部門や基盤チームのリーダーに向いています。
ロール別にできること
| 操作 | 企業オーナー | 企業管理者 | 部門責任者 | メンバー |
|---|---|---|---|---|
| メンバーの追加・編集・削除・停止 | 全社 | 全社 | 自部門のみ | — |
| メンバークォータと利用可能グループの変更 | 全社 | 全社 | 自部門のみ | — |
| 部門の作成・変更・削除、部門クォータと責任者の設定 | 可 | 可 | 不可 | — |
| 締め日の設定 | 可 | 可 | 不可 | — |
| 自部門とメンバーのクォータアラート受信 | — | — | 可 | — |
| 自分のキー発行、ワークベンチと AI Chat の利用 | 可 | 可 | 可 | 可(メンバークォータの範囲内) |
ステップ 5:キーは「人」に配るか「サービス」に配るか
キーはメンバーに紐づけることも、メンバーに紐づけず部門に直接紐づけることもできます。目安は次のとおりです。
| 用途 | 紐づけ先 | 推奨設定 |
|---|---|---|
| 個人の開発、Claude Code や Cursor などのコーディングツール | メンバー(本人が発行) | メンバークォータで制限;退職時はメンバーと一緒に停止 |
| 本番サービス(サポートボット、社内アプリ) | メンバーなし、部門に直接 | キー単位のクォータ・同時実行数・IP リスト;1 サービス 1 キー |
| バッチ処理、CI テスト | メンバーなし、部門に直接 | 有効期限と小さめのクォータで自動的に止まるように |
メンバーに紐づくキーはメンバーの所属部門に従い、メンバーなしのキーは紐づけた部門のクォータに計上されます。キーごとに次を設定できます。
- グループ:1 本のキーに 1〜10 個のグループを含められ、そのグループのモデルだけを呼び出せます。
GET /v1/modelsでそのキーが使えるモデルを確認できます(モデル一覧のドキュメント); - クォータ・有効期限・IP リスト・同時実行数:有効期限を空欄にすると無期限;
- 無効化・失効:いつでも可能で、ほかのキーには影響しません。
各キーには作成者が表示され、サーバー側には一方向ハッシュのみが保存されます。OpenAI 互換の Base URL は https://api.hop-base.com/v1、例のキーは sk-your-key と表記します。
ステップ 6:部門別の利用額を確認し、書き出す
- 「使用量」ページを開き、日付・キー・メンバー・部門・キー作成者で絞り込みます。
- 「CSV をエクスポート」をクリックします。1 ファイル最大 5 万行・400 日分。列は時刻、モデル、使用量、公式通貨、公式コスト、割引、為替レート、実際の請求額、備考です。
- 各行は検算できます:公式コスト × 割引 ÷ 為替レート = 実際の請求額。失敗したリクエストは課金されません。
さらに、「利用可能残高」に対して複数段階のアラートしきい値を設定しておくと、下回ったときにメールとサイト内通知が届き、月の途中で残高が尽きるのを防げます。配賦の詳しい方法はLLM API 使用量の照合と部門別配賦、キー漏えいと退職者対応はAPI キー漏えい・退職時回収の手順書を参照してください。
組織変更、メンバー変更、クォータと権限の変更、キー操作はすべて監査ログに記録され、日時と対象で検索できます。銀行振込、請求書、企業向け精算については HopBase チーム(sales@hop-base.com)までお問い合わせください。
よくある質問
社員に API キーを配るとき、社員側でアカウント登録は必要ですか?
不要です。企業オーナーか企業管理者が「チーム管理」でメンバーを追加し、ログイン用メールアドレスと初期パスワードを設定するだけです。メンバーはログイン後に自分でキーを発行し、利用料は企業残高から引き落とされ、そのメンバーと所属部門に計上されます。
メンバークォータの合計が部門クォータを超えたらどうなりますか?
先に使った人が優先です。部門クォータを使い切ると、その部門のすべてのメンバーとキーのリクエストが処理前に HTTP 402 insufficient_quota で拒否されます。次の締め日のリセットか、オーナーによる部門クォータの引き上げまで続きます。
AI の使用量を部門別に集計するには?
使用量ページで部門を絞り込み、CSV を書き出します。各行に公式コスト・割引・為替レート・実際の請求額が入っているので検算できます。メンバーに紐づくキーはメンバーの所属部門に、メンバーなしのキーは紐づけた部門に計上されます。